21)患者申出療養制度新設(法律成立)

平成27年5月27日第189回国会で持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」(医療改正法2015)が成立しました。

患者申出療養については健康保険法第63条の改正が主要改正部分になります。

制度の内容は、様々なサイトで解説されていますので、参照していただければ十分でしょう。

 

問題は、給付される内容とその範囲が、民間保険にも影響します。

 

制度の給付概要(手続き論は除く)

1.高度の医療技術を用いた療養であって、被保険者の疾病又は負傷に関して、診察・薬剤又は治療材料の支給、処置・手術その他の治療、居宅における療養上の管理及び療養に伴う世話その他の看護、病院又は診療所への入院及びその他の療養に伴う世話その他の看護に対する給付とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養

2.厚生労働大臣が定めるもの

基本的には、以上の2点がポイントです。

したがって、高度でない医療、予防医療、従来の療養給付の基本から逸脱するものは、給付の対象外になります。また、2016年4月に向けて、省令・通知で給付に関する各論が公表される予定です。

現在(2015/6/11)、各都道府県に対して医療改正法2015の成立と改正法のポイントを解説したものが法律成立後5月に厚生労働省から通知されているだけです。

これまで厚生労働大臣や官僚から様々な制度に関するコメントがありましたが、評価療養に準じて保険適用を目指す制度であること、患者申出があるからといって怪治療を認めることはないことが確認されています。

 

今のところ未定なのは

1.臨床研究中核病院が厚生労働大臣宛に新規医療の意見書を提出する場合、同病院における患者申出療養の妥当性基準が未定であること

2.先進医療との関係が明確にされていないこと

  • 先進医療から保険適用されずに外された医療
  • 先進医療の適応外疾患に対する同一医療
  • 先進医療の認定外医療機関における同一医療の実施
  • 先進医療申請済みの医療(先進医療と患者申出医療への重複申請)

これらが、患者申出療養として認められるか未定です。

 

なお、実際には稀少疾患の未承認治療薬剤に対する医師主導治験の実施(先進医療Bからの移行)と費用対効果の面で保険適用が認められない先進医療の受け皿(先進医慮Aの一部後継)として機能していく制度と考えられますので、これ以外のどのような医療が、実際に該当するのか検討が進んでいくはずです。

いずれにせよ、通知がほぼ出揃わないと民間保険として保険料計算は、困難というのが現状です。

省令、通知等は、2015年9月に公表されることが、7月の中医協で決定しています。