2020年度レポート

第10巻第1号の内容(RESEARCH REVIEW VOL10 NO1)

白内障手術の先進医療適用除外と選定療養制度

新しい医療行為の保険適用を評価する仕組みとして先進医療や患者申出療養制度が存在します。これらは、保険診療と医療行為の技術料が自費負担となる公的に管理された混合診療になり、保険外併用療養費制度に含まれます。保険外併用療養費制度の全体をまとめると、以下のとおりに区分されています。

  1. ① 有効性、安全性が確認された療養:保険診療
  2. ② 有効性、安全性が確認されない療養または確認する必要のない療養で国が管理するもの:保険外併用療養費制度
    1. (ア) 保険導入の評価を行うもの(評価療養、患者申出療養)
    2. (イ) 保険導入の評価を行わないもの(選定療養)

これらの中で、新たな医療行為の制度適用には関心が集まりますが、差額ベッド代の費用の徴収の根拠となっている選定療養制度が解説されることは、あまりありませんでした。ところが、今回多くの患者が受けている白内障治療の1種である多焦点レンズを使用した水晶体再建が、保険適用が受けられないまま先進医療から除外されることが決まりました。これでは、同治療行為は自由診療でしか行えません。本報告執筆中に、同治療行為が選定療養行為として、公的に管理された混合診療の対象として継続できるように関連学会から申請されています。万一、このような医療行為が選定療養に認められると、今後保険導入が不適であると評価された医療が、選定療養として適用が拡大される影響があるのです。また、今回対象となった多焦点レンズを使用した水晶体再建は、先進医療給付金も、一部の商品の手術給付金にも非該当となり、給付金が支払われない事態が発生してしまいます。したがって、保険業界のみならず、国民もその動向について注視しなければなりません。懸念事項として、混合診療が歯止めなく拡大することや、選定療養の認定基準や選定プロセスが曖昧な点があることです。以上について簡単ですが、本研究報告で解説いたしました。

2020年第10巻第1号 RR2020VOL10NO1.pdf