平成28年度レポート

平成28年度リサーチレビューのページ

第6巻第3号の内容(Research Review Vol6 No3)

  1. 改正個人情報保護法とゲノム情報の取扱い
  2. 消費者向け研究報告解説

平成27年9月9日に改正個人情報保護法(改正法)が交付され、公布日から2年以内に施行されます。以前から遺伝子情報は医学的な情報の中でも、特に倫理的に特別な情報であると考えられてきましたが、日本では法律で取扱いに特別な規制は無く、医学研究や臨床における取扱いに関する指針が行政で策定されているに過ぎませんでした。改正法成立までの過程では、遺伝子情報に関してどのように保護するべきか、法規制すべきか様々な議論が行われましたが、具体的な取扱いについては改正法の施行までの間に政令として対応することになり、平成28年夏までに協議を終える予定で検討が行われました。また政府は、別途ゲノム医療を推進する国策の中で、遺伝子情報より広範なゲノム情報に関する取扱いを検討するために、ゲノム医療実現推進会議を設け、更に具体的な政令作成のための提言を行うタスクフォースの会議(TF)を設置しています。そこでまとめられた、TFの意見をもとにゲノム医療実現推進会議で政令の検討が8月に行われています。「遺伝子情報と保険」の問題に関して諸外国では、遺伝子差別禁止法を策定し、雇用と保険の引受けにおける遺伝子情報の取扱いが規制されていますが、日本では今回のTFやゲノム医療実現推進会議の協議で、遺伝子(ゲノム)情報差別禁止法や保険における遺伝子(ゲノム)情報取扱いの規制が、政令に盛り込まれるか注目されていました。報告書では、現段階での保険実務への影響や今後について報告しています。

第6巻第3号 RR2016VOL6NO3pdf  2016年第6巻第3号

第6巻第2号の内容(Research Review Vol6 No2)

  1. 商業的遺伝子検査の普及と課題
  2. 消費者向け研究報告解説

保険会社は契約した多くの方の様々な情報を管理保有しています。科学技術は進歩し大量の情報ビッグデータ)を分析できる時代が到来しています。一方、遺伝子という医学的究極の個人情報を簡便に検査するビジネスが隆盛し、消費者向けの遺伝子検査が普及しています。保険会社が、そのような個人情報をビッグデータとして解析するという報道もあり、一部に消費者の不安を煽る結果になっています。勿論保険加入者への健康管理という名目ですが、様々な問題が指摘されています。本レポートでは、消費者向けの遺伝子ビジネスの現状と保険会社の保有する健康情報の精度問題点および一般的な遺伝子検査の概要について解説します。合わせて保険会社と遺伝子検査の関係を規制する遺伝子特化法と現在行政で行われている遺伝子情報取扱いに関する協議の概要について紹介します。その中で日本でもゲノム法(これまで遺伝子特化法と呼ばれてきた遺伝子情報に関する差別を防止するための法律で、現在行政ではゲノム法と呼んでいます)の検討が今後進む可能性があることと、2016年の夏ごろ個人情報保護法との関係で遺伝子情報の取り扱い規制の内容が決まることを紹介しています。

第6巻第2号 RR2016VOL6NO2pdf  2016年第6巻第2号

 

第6巻第1号の内容(Research Review Vol6 No1)

  1. 公的制度と保険金給付
  2. 消費者向け研究報告解説

これだけ、医療費財政が逼迫している、あるいは医療費削減が叫ばれる中でも、民間の医療保険を利用して過剰な保険給付を得ようとするものが見られることがあります。もちろん給付すれば、多くの方から集めた保険料の一部が、妥当性を欠くような請求に給付されることになります。この点は、以前より保険業界では問題になってきたことですが、最近は入院環境が大きく変化しています。入院を提供する病床の機能分化や診療報酬支払い方式などが、新しい医療制度への転換という国策により大きく影響を受けているからです。ともすれば、保険金支払い審査の担当者の経験的な直感による入院の妥当性判断が、実務の現場では横行していますが、今後の医療環境の変化を見れば公的制度の変化を理解し、より科学的な給付審査が必要になっています。本レポートでは、やや専門的な部分がありますが、どのような制度が給付審査の参考にすべきなのかを解説しています。
第6巻第1号 RR2016VOL6NO1.pdf  2016年第6巻第1号