平成26年度レポート

平成26年度リサーチレビューのページ

第4巻第3号の内容(Research Review Vol4 No3)

  1. 入浴中の溺死案件の災害認定におけるAi活用の可能性の検討
  2. 消費者向け研究報告解説

死亡保険の死因を巡る研究の歴史は古く、特に災害死亡に関するこれまでの研究は数多く報告されています。その中でも、最近増えている入浴中や風呂場(脱衣場を含む)での死亡に関しては、実務の中でも災害原因とする保険金支払いの妥当性を巡って、査定担当者の頭を悩ませてきたのは事実です。風呂場での急死は、そもそも脳卒中や心筋梗塞が原因でない限り発生しないのではないかといった論調もありました。一方、死体解剖の有無により死因究明の精度は大きく、解剖の有無で保険金支払いが、異なるといった課題も以前から指摘されてきました。この点に関しては入浴中の急死だけの問題ではありません。最近では、ある相撲取りの虐待死を見逃しそうになった事件から死因究明の精度向上が社会的にも求められるようになってきています。本レポートでは、そのような現状に一石を投じる新たな死因究明の手段としてAi(死亡時画像診断)の応用の影響について報告しています。
第4巻第3号 RR2014VOL4NO3.pdf  2014年第4巻第3号

 

第4巻第2号の内容 (Research Review Vol4 No2)

  1. がん保険における診断給付金複数支払い
  2. 消費者向け研究報告解説

がん保険が何を保障し、どのような状態になると給付金が支払われるのか消費者にとっては分かりづらいものです。商品設計が原因なのか医学的な要因が原因なのか定かではありませんが、少なくとも医学的に、「がん」なのか「がん」でないのか診断することも難しいのですから、診断給付金が複数回支払われるということは、どのようなことか正確に理解するのは大変です。診断給付金が複数回支払われることが、商品比較のポイントになっているようですが、実際は各社の約款を比較すると給付の条件は様々です。残念ながらがん保険の特集号を見ても、ファイナンシャルプランナーの解説を読んでも、この点に言及している解説はほとんどありません。最も重要なポイントなのですが、具体的に解説されていないのが現状です。本報告は、各社の診断給付金複数回支払いの約款を比較研究することにより、複数回支払いの問題点を分析しています。
第4巻第2号 RR2014VOL4NO2.pdf  2014年第4巻第2号

 

第4巻第1号の内容 (Research Review Vol4 No1)

  1. 復活制度と危険選択
  2. 消費者向け研究報告解説

復活という制度は、消費者に馴染みのある保険の制度ではありません。保険契約は保険料が払い込まれて初めて保障が得られます(最近は例外もありますが)。 当然のことですが、保険料の未払いが続くと保障が停止され、保険契約上は失効になります。契約が失効になると、契約者にとって様々な不都合が生じてしまいますので、再度保障を得られるようにする制度が用意されています。これが復活と言う制度です。復活するためには、保険会社に対して復活の請求をした上に、未払い部分の保険料を一括して支払う必要があります。また復活の請求をする際に、健康を損ねた方がいらっしゃるため、保険会社側では復活の可否を審査することになります。このような審査を危険選択といいますが、審査があることは一般によく知られていません。さて、問題なのは元々の契約を加入したときより年齢も高くなり健康を阻害された方が多くいらっしゃいます。従って、新契約の際と同じように審査の判定をすると、復活できない方が増えてしまいます。更に、よくよく調べて見ると失効した理由も様々ですが、たまたま保険料が引き落としとなる銀行口座の残高が不足していたけれど、海外旅行に行っていた、入院していてうっかり残高不足を放置し失効してしまうこともあります。このような事情を考えると復活の審査は、かなり緩和してよいのではないでしょうか。これまで、復活の審査は保険会社の自由裁量でしたが、ソニー生命の契約者の失効を巡る裁判が最高裁で争われ、差戻しの高裁判決で過度な審査を制限するべきであるとの注目すべき判決がありました。これを契機として今後各社とも復活の審査実務を再検討する事になりそうです。今回の研究報告では、新たな復活の審査方法を提案しています。
第4巻第1号 RR2014VOL4NO1.pdf  2014年第4巻第1号