20)再生医療と薬事法改正

平成26年11月25日に施行された 「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(改正薬事法)

法律の概要:

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000066816.pdfより以下に転記する。

 

1 医薬品、医療機器等に係る安全対策の強化
(1) 薬事法の目的に、保健衛生上の危害の発生・拡大防止のため必要な規制を行うことを明示する。
(2) 医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保等に係る責務を関係者に課す。
(3) 医薬品等の製造販売業者は、最新の知見に基づき添付文書を作成し、厚生労働大臣に届け出るものとする。
2 医療機器の特性を踏まえた規制の構築
(1) 医療機器の製造販売業・製造業について、医薬品等と章を区分して規定する。
(2) 医療機器の民間の第三者機関による認証制度を、基準を定めて高度管理医療機器にも拡大する。
(3) 診断等に用いる単体プログラムについて、医療機器として製造販売の承認・認証等の対象とする。
(4) 医療機器の製造業について、許可制から登録制に簡素化する。
(5) 医療機器の製造・品質管理方法の基準適合性調査について、合理化を図る。
3 再生医療等製品の特性を踏まえた規制の構築
(1) 「再生医療等製品」を新たに定義するとともに、その特性を踏まえた安全対策等の規制を設ける。
(2) 均質でない再生医療等製品について、有効性が推定され、安全性が認められれば、特別に早期に、
条件及び期限を付して製造販売承認を与えることを可能とする。
4 その他
薬事法の題名を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に改めるほか、
所要の改正を行う。
 
ポイント:
改正薬事法は、再生医療に使用されるiPS細胞を含めた細胞、組織の製造、販売等について新しく法規制の対象となったことで大きく再生医療の伸展に貢献できる法改正です。再生医療等に使用される細胞・組織の製品は、基本的に医療用医薬品、医療機器と同様に治験、PMDAの審査を経ることにより臨床応用されることになります。
民間保険への影響:
未承認医療機器や医薬品の使用については、先進医療として承認されることがあるので、再生医療用の製品も先進医療で使用が認めらることになる可能性が広がりました。また、これらの製品が国家管理になることで、民間保険もこれらの製品を使用する費用を保障する商品化の道が開けることになります。
 
※平成26年6月12日薬事法の一部を改正する政令と薬剤販売について:
医薬品では、インターネット販売を巡る問題がマスコミを通じて報道され話題になりましたが、平成26年6月12日薬事法の一部を改正する政令を施行し、基本的な枠組みを設定しています。販売を巡るトラブルの背景には、ネットによる販売と薬剤師の対面販売の問題などありますが、基本的には、薬剤を巡る利権の争奪戦です。医療機関、調剤薬局、ネット小売業が主な薬価差益や調剤費を巡る問題です。
薬価は公的な基準であり、処方箋を発行する医療機関の経営は営利企業には認められていません。しかし、院外の調剤に関しては営利企業が参加しているため、結果として調剤部分の医療費は高くなっています。
今後、医療機関施設内院外薬局の問題が、大きいテーマとして議論されていくでしょう。