一人の営業マンが覚えられる保険商品

 長年、保険業に携わってき専門家ですら複数の商品を理解し覚えるのは大変です。自社商品であっても熟知できるのは、せいぜい10商品程度です。したがって、乗り合い代理店といわれる複数社の商品を扱う代理店の募集人が、複数社の複数商品を熟知して消費者に販売するのは現実的には困難です。消費者の個別ニーズに合わせて複数社の商品から最適な商品を販売することは容易なことではないわけです。せいぜい数社の商品を提案できる程度でしょう。このような事実に反して40社近い会社の商品を提示できると公表している代理店があれば要注意でしょう。日本では根付いていませんが、欧米ではブローカー制度があり、ブローカーは、販売する保険会社の意向とは関係なく消費者に最適な商品を販売することが義務付けられており対価として受け取る手数料は、高くなっています。日本では、ブローカーと誤解されるような乗り合い代理店の宣伝も目にしますが、消費者に最適な商品の提示をしているのか、受け取れる手数料が高い会社の商品に誘導して販売しているのか現在行政も目を光らせ始めたところです。熟知している商品は数商品しかないにもかかわらず見せかけで数多くの会社の商品を提案できると公表していることもありえます。

 また保険会社は、代理店や営業職員に対して常に募集の適正化のための研修を実施しています。会社によっては毎月そのような研修を実施し、受講していなければ販売を取り扱わせないようにしているところもあります。仮に10社と契約していれば10社の研修を受講する必要があるのです。現実にこのような対応ができるでしょうか。そのような研修を受けるだけで営業をする時間がなくなってしまいます。

 逆に、複数社の商品を提案している代理店には期待せずに、死亡保険や医療保険は会社が異なっても最低限の保障があるので、保険料比較だけ確認するために代理店を利用するといった付き合い方を考えてもよいでしょう。