不妊症は、加入できるの、告知するの?

不妊症に関して保険の加入と給付を巡る問題があります。両者共に関係していますので、問題を理解していただけるように整理して解説いたします。

1)不妊症の問題に存在する特殊性

①夫婦というカップルの存在が不妊症の条件だが、保険加入の問題は個人の問題であること

②不妊症は、疾病なのか否か(告知しなくてはならない疾病なのか否か)微妙であること

保険の加入や給付の問題を理解するためには、不妊症の特殊性について理解しなくてはなりません。

不妊症は男性だけに異常がある場合、女性だけに異常がある場合、両者に異常がある場合、両者に異常が見つからない場合の4パターンに分かれます。

 さて、不妊症はカップルに対して成立する疾病概念で医学的には疾病としての明確に位置づけられています。しかし、個人に対して告知書の質問が提示されるので、自分ではない配偶者にのみ異常がある場合には、自分自身の不妊症通院は告知すべきなのか曖昧となります。このような場合も告知すべきだと保険会社が考えているなら、そのような回答が得られるように告知書が整備されていないと問題です。同様に、夫婦共に異常が見つからなかった場合に告知すべき疾病に該当するのかどうか告知書の整備が必要になります。

 ようするに、保険会社が不妊症を限定的に捉え明らかに異常がある場合にだけ、告知を求めるのか否かで、その後の給付のあり方にも影響を与えことになるのです。

具体例を考えましょう。男性不妊で自身には問題が無い女性が医療保険に加入される場合です。

①不妊症の告知を女性求める場合

 治療のために人工受精や生殖補助医療を女性が受けた。これらの医療に対して給付請求があれば給付する必要が生じます。

②不妊症の告知を求めない場合

 治療のために人工受精や生殖補助医療を女性が受けた。これらの医療に対して給付請求があっても給付する必要は生じません。

すなわち、女性自身に異常がなくても不妊症で通院事実があれば告知すべき疾病に罹患していると考えるかどうかで、その後の女性が受けた不妊症の治療を疾病の治療として給付するかどうかの判断が変わることになるのです。