部位不担保と疾病不担保どちらがお得?

医療保険では、「不担保の条件付で契約を引受けします」という条件の提示を受けることがあります。

子宮筋腫の病気があることを告知すると、子宮の不担保つまり子宮の部位に不担保の条件が付くことがあります。これを部位不担保と呼びます。契約後、該当の部位に発生した疾病は、支払いの免責になります。子宮筋腫は勿論、子宮がんで入院しても給付金は支払ってもらえないという条件です。

消費者からすると、子宮筋腫だけ支払いから免責にすればよいのではないかという疑問がわくと思います。このような条件が、子宮筋腫という病気だけ不担保とするので疾病不担保と呼ばれます。

実際、多くの会社が部位不担保や疾病不担保を契約の条件として採用しています。しかし、実際提示される不担保は圧倒的に部位不担保が多くなっています。

1)何故、部位不担保が多いのか

2)部位の区分は、会社で異なるのか

3)不担保条件の期間は

4)大腸に部位不担保の場合、大腸がんが肺に転移した場合の支払いは

5)右腕に不担保、けがで右手腕の骨折も免責なのか

6)不担保の条件を承諾すれば、その分保険料は安くなるのか

7)約款では、そもそも契約前に発病している疾病は給付の対象外なのに、何故不担保の条件が付与されるの

といった点について、当然疑問を持たれるでしょう。それぞれについて解説してみましょう。

1)何故、部位不担保が多いのか

疾病不担保と部位不担保を比較すると、給付請求の際に免責される対象は部位ですからお客様と保険会社で認識に差は無いはずです。胃は、誰についても、胃という部位です。解釈に差はありません。しかし、病気は主治医によっても診断に差があることや、診断基準が変わることもあります。当然、お客様と保険会社で病気の認識や理解に差がありえます。すなわち、疾病不担保の場合には給付請求の際に免責の判断が難しくなります。したがって、生命保険業界の歴史の中で徐々に部位不担保が主流になってきています。

一方、疾病不担保もいくつか実務に取り入れられ条件として根付いています。これは、病気の診断が容易で、時代が変わっても診断が変化しないような疾病に限定されます。通常は、異常妊娠・異常分娩あるいは外傷の後遺症などです。

2) 部位の区分は、会社で異なるのか

部位の区分は各社ばらばらです。部位数が少なくても多すぎても実務的ではありません。大体各社30部位から50部位程度になっています。下肢という部位不担保もあれば、右下肢、左下肢というように細分化している会社もあり、会社の考え方次第です。

3)不担保の期間は

通常不担保の期間は、年数単位で1年から保険の全期間まで条件提示される可能性があります。具体的に何年間不担保を付与するのかは、告知された病気や病状の内容により各社の査定標準により決まっています。

4)大腸に部位不担保の場合、大腸がんが肺に転移した場合の支払いは

このようなケースでは、加入された契約の約款により肺が免責となるかどうかが異なります。部位不担保に特別な補則がなければ、大腸がんが転移した肺については不担保にできないのが一般的な解釈となります。不担保の条件が提示された場合には、保険会社に確認してみるとよいでしょう。

5)右腕に不担保、けがで右手腕の骨折も免責なのか

不担保の条件は、告知された疾病の再発入院を主に免責とする考えに基づいていますので、契約後に偶然受傷した骨折の入院まで免責とする約款にはなっていません。したがって、部位不担保では、不慮の事故は不担保の対象外になっています。

6)不担保の条件を承諾すれば、その分保険料は安くなるのか

確かに、不担保の条件を付与するのですから、保険料を安くしてもらってもよいのではないかと思われるでしょう。しかし、どの保険会社でも、そのような保険料の調整は行われていません。保険料の調整をおこなうためのシステムを造るのが困難なためです。したがって、部位不担保を複数同時に提示することは問題になります。いくつも疾病をお持ちの方については、不担保の条件を提示するよりも契約をお断りすることになります。実際、同時に付与できる不担保の数も会社により異なっています。最大でも5部位程度でしょう。一般には、2部位までです。

7)約款では、そもそも契約前に発病している疾病は給付の対象外なのに、何故不担保の条件が付与されるの

病気を告知したのに無条件で契約を引受けしてもらった場合を考えて見ましょう。契約後その病気が悪化して入院した場合に給付金の請求をしたところ、契約前の発病だから不払いと言われたらどうでしょうか。当然、無条件で契約を引受けしてもらったので、その病気も保障されると期待感を持たれていたのではないでしょうか。苦情となっても仕方が無いでしょう。しかし、約款では給付しなくてもよいのですが、このような苦情を防ぐために告知した疾病を含めて、一定の部位が保障されないことを不担保の条件を提示することでお客様との間で確認し合うことになるのです。