2021年レポート

第11巻第2号の内容(RESEARCH REVIEW VOL11 NO2)

リビングニーズ特約を考える

死亡保険には、特殊な保障があります。リビングニーズ特約です。「余命が6ヶ月以内」と判断された場合に、死亡保険金の一部を前払いできる保障ですが、特約とあっても基本的に死亡保険とセットで販売されているので、保険本体の一部と考えてもよいでしょう。一般の消費者には馴染みが少なく、詳細を知る機会も限られています。日本では1992年から販売が開始され、すでに30年近くの年数が経過しています。業界を通じてリビングニーズ特約に焦点が当てられてきませんでした。そのために、特約が抱える問題にも関心が薄く、保険金支払いの一部の担当者にしか問題認識が醸成されない状況が続いています。実務的には、余命の定義がないこと、余命の判断する保険金支払い査定の水準が各社でバラバラであること、支払い査定の教育も医学水準に追いつくことが困難であることが挙げられます。このままでは、臨床医は特約請求用の医療証明書を前に頭を抱える日々が続くことでしょう。本報告では、あらためて、リビングニーズ特約に関する諸問題について報告いたしました。

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第11巻第1号の内容(RESEARCH REVIEW VOL11 NO1)

国際疾病分類改訂概要と保険実務

2022年(WHO)には、日本国内において死因統計など国民にとって重要な統計に、新しい病名分類である国際疾病分類(国内の冊子名は疾病、傷害及び死因分類提要)の11版が使用されることになっています。例えば消費者の方々の日常生活に直接的な影響はありませんが、民間保険業界は大きな影響を受ける予想です。保険会社は、多くの方に保険を販売し、保険金・給付金を支払っています。請求の原因になった死因や入院の原因疾患など記録しておかなければなりません。国際疾病分類はその際に使用される基本分類になっています。また、特殊な保険商品では、特定の病気で療養をすると給付金が支払われる商品も販売されています。それらの商品では対象になる病気の病名に加えて国際疾病分類のコードも約款に記載されています。このように様々な保険実務で応用されている分類が、約30年ぶりの改訂になり大規模な修正、変更が行われる予定です。本報告では、改訂の概要と保険実務への影響を解説しています。

2021年第11巻第1号 RR2021VOL11NO1.pdf